関税がかからないNAFTA
日産がメキシコでの生産を強化したのは、北米自由貿易協定(NAFTA)も大きな理由の一つだった。
NAFTAは、メキシコ、カナダ、米国が結んだ。現地調達した部品で完成車を作って北米に輸出すれば関税がかからないメリットを生かして、巨大な北米市場に攻勢をかけた。
ティーダを現地生産
2006年には、8億ドルを投資して、アグアスカリエンテス工場の生産能力を現在の70%増の年産35万台に引き上げた。
2006年夏には小型車「ヴァーサ」(日本名ティーダ)をメキシコで生産し、小型車人気の高い米国に投入した。メキシコと欧州間の貿易協定の動向を見ながら、メキシコ生産車の欧州輸出も計画した。
ジヤトコの工場開所
一方、子会社のジヤトコを通じて、部品供給力を増強させた。2006年1月は、日産の工場に隣接するジヤトコの工場の開所式を行った。
日産の小枝至会長「北米・中南米へのアクセスが容易」
開所式には日産の小枝至会長も出席した。「メキシコは、北米・中南米へのアクセスが容易だ。豊富な労働力、コスト収益性の高い事業環境の資質を備えている」と語った。
グループをあげて同国の能力増強と、海外市場向け対応力強化を進めていくことを表明した。
無段変速機(CVT)を生産
ジヤトコにとってメキシコは初の海外生産拠点となった。基幹部品である無段変速機(CVT)を生産した。当面は年産能力は30万台だった。段階的に増強して、2009年までに80万台分に引き上げる計画を掲げた。
まずはダイムラークライスラー向けに供給した。現地進出している他メーカーや北米の生産拠点向けにも供給できるよう体制を強化した。
5%分が無関税輸出枠
日本とメキシコのFTAでは、メキシコ市場販売台数の5%分が、メキシコへの無関税輸出枠として日本メーカーに与えられた。
トヨタがトラックの荷台を生産
これを受けて、一度メキシコから撤退したトヨタ自動車が2009年9月からトラック「タコマ」の荷台生産を開始した。日本メーカーの輸出拠点としての存在感が増していた。
参考:https://toyota-m-brand.com/
マツダは「アクセラ」「ロードスター」を投入
マツダは約3300台の割り当て分を活用した。「マツダ3(アクセラ)」などの三車種に加え、2006年は小型スポーツカーの「ロードスター」を投入した。
いすゞ、スズキも同制度で輸出を始めた。販売面でも各社が体制を強化した。